世界的デザイナー故髙田賢三氏は何故マスミに依頼したのか? 3つの屏風に込められた日本の伝統への想い

世界的に活躍している日本人デザイナー故髙田賢三さんより屏風仕立の注文

「ケンゾー(KENZO)」と聞いて鮮やかなデザインの洋服が思い浮かぶ方は多いのではないでしょうか。

1970年のパリでのデビュー以来、時代の寵児として愛され続け、日本人で初めて「パリで最もクリエイティブなデザイナー」と認められた故髙田賢三氏。2019年秋「賢三さんが新ブラント立ち上げで、屏風を作りたいと言っている」友人から連絡を受け、賢三さんとお会いすることになりました。

新ブランド「K三(ケースリー)」は2020年1月の立ち上げに向け、家具や陶芸品、絨毯、オブジェ、リネン、テキスタイルなど既にほとんどのデザインが完成されている状態でした。しかしながら「何かが足りない」と感じていた賢三さん。「メインには日本の職人技術が光る屏風を置きたい」と考え、パリからマスミ東京まで足を運んでくださったのです。日本職人の技は世界随一という賢三さんの想いに感銘を受け、マスミ東京で屏風作りがスタートしました。

出演:(株)マスミ東京 代表取締役 横尾靖
撮影・編集:宮部勝之 https://miyabe-films.com/

 

テーマに合わせ3種の箔で屏風を仕立てる

「将軍」をテーマとした屏風『SHOGUN』 2020年1月 フランス・パリのショールームにて

コレクションは「将軍」「舞子」「桜」と3つのテーマがあり、それぞれの世界観は自然をモチーフにデザインで鮮やかに表現されています。賢三さんのデザインを屏風で表現できるか、試行錯誤の日々が始まりました。

マスミから提案させていただいたのは、和紙に箔を押してその上にデザインを印刷する方法です。屏風の美しさは貼られた箔が光を反射してつくり出す表情にあります。同じ作品は光の強さ、差し込む角度によって様々な表情へ変化していき、いつでも違う顔を見せてくれるのです。

屏風だからこその表現にするには箔は欠かせない、そのように考えて、黒を基調をした「SHOGUN」には銀箔。ビビットな「MAIKO」には金箔。優しい色の「SAKURA」には錫(すず)箔。それぞれのデザインが映える箔を選びました。

銀箔 写真はA4サイズにプリントしたもの

金箔 写真はA4サイズにプリントしたもの

錫(すず)箔 写真はA4サイズにプリントしたもの

箔の上への印刷を縮小版で試してみると箔なしの和紙に印刷したときとの差は歴然。「これで行こう!」賢三氏からも力強いゴーサインをいただきました。

 

「色が剥がれて和紙が使えない」最大のピンチを匠の技術集結で乗り切る

「桜」をテーマとした屏風『SAKURA』 2020年1月 フランス・パリ ショールームにて

ご依頼を頂いたのが10月、ブランドオープンに合わせて12月には出荷しなければならないない中で、「UVプリント」を初めて使用するK三の屏風づくりはマスミにとって挑戦の連続となりました。「特殊なプリンターで箔に印刷できるのか」試行錯誤しながら進める中で最大のピンチが訪れます。

屏風サイズの和紙に箔を押し、印刷まで出来た。さあ、屏風の骨に和紙で下貼りした上に出力した作品を貼っていくぞという段階になって、UVプリンターで印刷した和紙では屏風に仕立てられないことがわかったのです。

和紙を枠に折り込む際にUVプリンターで箔に乗せた絵の具がぽろぽろと剥がれ落ちてしまい職人も「この和紙では屏風にならない」とお手上げ状態。屏風が作れない事態に冷や汗が止まらなくなりました。

これまでの経験を総動員し、折り込む部分に絵の具が乗らないよう、デザインを少しだけ縮小して印刷する手法に切り替えることを決めました。職人たちに徹夜してもらい、和紙からの作り直しで無事に屏風が完成。最大の難を乗り切ることができました。

鮮やかに光を放ちパリに衝撃を与える。世界が注目する日本の伝統技術

「舞子」をテーマとした屏風『MAIKO』 2020年1月 フランス・パリ ショールームにて

2020年1月、フランス・パリで開催されるインテリアとデザインの見本市「メゾン・エ・オブジェ」でK三が発表され、賢三さんの新たなスタートに世界中から関心が寄せられました。

メゾン・エ・オブジェの会場ではなく、ビップだけが入れるプライベート空間のショールームに置かれることになった屏風はお客様へ鮮烈なインパクトを与えることに成功。K三はライフスタイルを展開するブランドなので屏風はあくまでシンボルとして置かれる想定でしたが、お客様からは「この屏風いいね、欲しい」の声があがったそうです。賢三さんのデザインとともに職人の技術の結晶が世界に認められたことは非常に嬉しいことでした。

 

髙田賢三さん 2020年1月 フランス・パリ ショールームにて

10月に賢三さんの訃報に世界が悲しみに暮れることとなりましたが、日本を代表するデザイナー髙田賢三氏が生み出したK三と屏風は日本伝統の素晴らしさを伝え、光を放ち続けると確信しています。

アラン ウエスト画集 「その中にある声」 ¥2,200(税込)

マスミでは屏風の仕立、修復、またアート作品としての屏風作成のご相談も承っております。
谷中にアトリエをかまえる日本画家アラン・ウェスト氏の屏風画も長年にわたり作成。アラン氏の屏風作品は日本国内の著名ギャラリーでの個展開催のみならず、欧米諸国、ロシア等で外務省依頼行事で展示されています。

2015年ミラノ万博ジャパンサローネが開催されたスティリーニ宮殿に展示された茶室屏風

200年以上前に究極の茶室として利用されていたという「組立て式移動型茶室屏風」。
マスミ東京には、現代の職人が最高の技術と材料を使いオリジナルに迫れるか挑戦して作られた、折りたたみ式の茶室屏風が展示されています。床が平らならどこへでも運べて、海外のイベントにも最高。貸し出しも可能です。

手軽に運べて組立ても僅か10分。
組み立てた寸法は約 縦:180cm x 横:230cmx高さ190cmと、畳3畳の広さ。
収納も約100cm x 190cm x 12cmの3つの箱に簡単に収納可。

 

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